作家、ごみ袋で彫刻覆う 不自由展問題、豊田に余波 中日新聞 愛知版より
引用します。
作家、ごみ袋で彫刻覆う 不自由展問題、豊田に余波
(上)ごみ袋で覆われる前のノボさんの作品 (下)黒いごみ袋で覆われた彫刻(右側の2点)など改変されたノボさんの作品。20日も多くの人が訪れた=いずれも豊田市美術館で |
十月十四日まで開かれているあいちトリエンナーレで外国人作家を中心に展示中止や内容の改変が相次いでいる問題で、作品を展示する豊田市美術館でも二十日から展示内容の変更があった。
変更されたのはキューバを拠点に活動するレニエール・レイバ・ノボさんの作品「革命は抽象である」。立体(彫刻)二組と二十枚一組の絵画からなり、旧ソ連の国威発揚がテーマ。県美術館で展示されていた「表現の不自由展・その後」の中止を受け、ノボさんから内容変更の申し出があり、全ての作品を覆い隠したうえで展示を継続する要請があった。
作品「革命は-」は、旧ソ連国旗にも描かれていた共産主義の象徴である鎌(かま)と鎚(つち)の彫刻、世界初の有人宇宙飛行に挑戦したガガーリンの銅像の手の部分のレプリカ彫刻、さらに政府発行ポスターの文字を抜いて背景のみにした絵画で構成される。
改変後は、鎌と鎚が黒いごみ袋で覆われ、絵画には騒動を伝える新聞各紙の紙面が掛けられた。来場者から特に好評を得ているガガーリンの手はそのまま展示することにした。
ノボさんは今回の問題を「暴力的な検閲」と捉える。事務局に対し「本来は美しい物であるはずの作品が、検閲によりごみ扱いされた」と、ごみ袋で隠すよう申し出た。新聞を使って絵画を覆ったのは「作品が検閲で見られなくなった」という事実を作品の一部として表現したかったという。
作品の改変を知らずに訪れた市内の主婦(43)は「難解な作品も多い現代アートだが、結果として興味深い作品になった。見る側にも作る側にもいろいろな立場や考え方があり、改変があっても展示が続けられたことで私たちが考えるきっかけを与えてくれた」と話した。
(久野賢太郎)